院長ブログ | ふくずみ皮フ科形成外科

ケロイドの治療について(2022.05.27更新)

ケロイドは赤く盛り上がってみみず腫れのようになり、痛みや痒みを引き起こす良性腫瘍になります。

分類は良性腫瘍なんですけれども、臨床的には悪性と言えなくもないと思っております。

理由は、自然に徐々に周りに拡大して大きくなったり、個数が増えたり・・・非常に厄介な、治療が難しい疾患の一つだからです。

一般的に行われている治療は、リザベンの内服あるいは、ヒルドイドクリームの外用シリコーンジェルシートでの固定

クリニックではケナコルトというステロイド剤の局所注射を行うことが多いです。

当院では、それ以外の治療として、Vビーム(ロングパルスダイレーザー)の照射を月1回ペースで、5回から10回受けていただくことを行っています。あるいは鎮痛剤のボルタレンゲルの外用であるとか、アコニンサンといった痛み止めの内服が、効果を発揮することが分かっています。

元々、「らい病」というウイルスが原因で起こる皮膚疾患が、前世紀にあったのですが、その「らい病」を有す患者さんには、末梢神経障害があり、末梢=手とか腕とかの、神経の感覚・知覚鈍麻ということがあって、その患者さんにはケロイドが認められないということが広く知られておりました。その解釈から知覚を鈍磨させる鎮痛作用のある薬剤が、ケロイドに効果があると考え、痛み止めの内服・外用を当院では積極的に行っております。

ケロイドが悪化する因子は、周りから引っ張られるという、前胸筋が発達している方とか、筋トレで筋肉が発達している方の、上腕の外側部、三角筋もしくは前胸部、背中の肩甲骨部、あとは恥骨部が好発部位なんですけども、テンションがかかって周りに引っ張られることでケロイドが発達して、大きく増大する特徴がありますので、ケロイドの患者さんには、筋トレはなさらないようにお願いしております。

治療の見通しですけれども、直径3㎝~5㎝程度のケロイドですと、2ヶ月~3ヶ月の通院でほぼ平坦になり、痒みとか痛みの症状もほぼなくなります。赤みもうすくなってきます。
手のひら大を超えるような大きなケロイド治療については、半年~1年くらいの治療期間を有する場合が多いです。

切り取る手術をすることもありますけれども、その場合には電子線(リニアック)という皮膚表面にだけ反応する放射線を照てて、線維芽細胞の再生を抑制するという治療を平行して行っております。ただ、皮膚を切り取ると、「テンション」皮膚が少なくなることによって、その部分の皮膚の緊張度が高まりますので、ケロイドの再発のリスクがやや高まる可能性があります。切除手術を行う場合は皮膚に余裕があって、病変が小さい場合に、留めた方が良いのではないかと考えております。

まだまだ難しいケロイドの治療ではありますが、当院では患者さんの病変と部位、大きさに応じて、適切な治療を行って参りたいと考えております。ケロイドでお悩みの患者さんは、是非一度ご相談に、お越し頂ければと思います。

(医)美咲会 ふくずみ皮フ科形成外科

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