円形脱毛症 の治療例と発毛効果 | ふくずみ形成外科 育毛治療ラボ

今日は、円形脱毛症の治療について書きます。

円形脱毛症の原因は、従来、ストレス説やウイルス説、アレルギー説、遺伝説、自己免疫説といった様々な説をたくさんの研究者たちが唱えてきましたが、解明されていないのが現状です。

その中で、現在もっとも有力とされている原因が「自己免疫」です。

原因が自己免疫とはどういうことかと言うと、外敵をやっつけるはずの体の防衛軍が敵と間違え、味方(毛母細胞等)を攻撃してしまうということです。

そのため、円形脱毛部分の免疫を抑制させる目的でステロイド剤の軟膏を塗って頂いたり、注射を行ったり、内服をお勧めしたりするわけです。

一般的な円形脱毛症に対する、当院の標準的な治療は以下の通りです。
①漢方薬の内服

柴胡加竜骨牡蛎湯や加味逍遥散等

②セファランチンの内服

アレルギーを抑えたり・血流を良くする効果があります。

③グリチロンの内服

炎症やアレルギーを抑える効果があります。

④フロジン液の塗布

副交感神経を刺激する働きがあります。
通常、夜寝ている間に交感神経が休んで、副交感神経が活発に働くと髪の毛が良く生えます。

⑤ステロイド・クリームの塗布

自己免疫を抑えます。体が間違えて自分の毛根を攻撃してしまう誤射撃をなくします。

⑥紫外線照射

VTRACという紫外線治療器を使用します。紫外線照射によりTリンパ球のアポトーシス(細胞死)が誘導され、過剰な免疫系が抑制されます。

円形脱毛の範囲が広い場合や、コイン大の脱毛箇所が多数認められる場合には、ステロイドの注射を行ったり、ステロイドの内服も行います。他に、全頭脱毛の方は、この円形脱毛症に分類されますが、先の治療法は無効であることがほとんどです。よって別の治療法が必要となります。

別の治療法とは、局所免疫療法と呼ばれるもので、簡単に言うと「皮膚のかぶれ」を利用した発毛治療です。

かぶれを起こさせる化学物質として、当院ではDPCP(ジフェニル・シクロ・プロぺノン)という物質を使用しています。

どのような治療かを簡単に説明しますね。

まず、上腕の内側に1%濃度のDPCPを塗った ろ紙を貼ります。その後、48時間 この ろ紙を腕に貼ったままにしておきます。そうすると、その部分が赤くかぶれ、いわゆる「感作された状態」となります。つまり、体が有害物質として認識するわけです。

「感作」が済むと、2~3週間後に0.0001%かその10倍の濃度の0.001%のDPCPを綿棒で頭の脱毛部位、もしくは頭全体に塗っていきます。

その後は、1週間に1度の通院をしていただき、このDPCPの塗布作業を根気よく繰り返すことになります。

頭のかぶれやかゆみを患者さんに確認しながら、徐々に濃度を上げていきます。目安としては、塗ったその日と翌日くらいに軽いかゆみを感じる位がちょうど良い濃度です。5~6回程度 DPCPの濃度調整を繰り返すと、ちょうど良い濃度というものが患者さんも私もだんだんと分かってきます。

根気のいる治療になりますが、効果がでるまで一緒に頑張っていきましょう。

最近では、前述しました全脱毛のご相談にいらっしゃる患者さんが多くなってきました。

全脱毛の患者さんは、様々な育毛サロンに通ったり、民間療法を試したり、クリニックの治療も受けてこられたと話されるかたが多くおられます。それにも関わらず、いっこうに結果がでず当院に辿りつた方々。

そんな方には、このDPCP療法で効果がでることがほとんどです。

全頭脱毛の患者さんには、毎週一回通っていただき、太めの綿棒にDPCP溶液をたっぷり染み込ませ、頭全体に万遍なく塗っていきます。

最初はうっすらと産毛が生えてくる程度ですが、そのわずかな産毛を少しずつ育てていくと、頭皮の所々に断片的な島状の毛の塊ができてきます。さらに治療が進むと、その島状の毛がどんどん周りに拡大し、最後には、頭全体を毛が覆うというところまでいきます。DPCPは、本当に良い治療法です。かぶれ物質を週に一回、頭に塗るだけで済みますから。

ただし、DPCPが効かない人もいます。その場合は、SADBEという他の化学物質を試すことになります。当院の脱毛症治療も治療の幅、症状ごとに選択肢がずいぶん増えてきました。紫外線治療器のVTRAC(ブイトラック)も大活躍ですし、男性型の脱毛症(AGA)も多剤併用療法でほぼ克服できています。全頭脱毛症の方を含めて円形脱毛症は諦めなくていいのです。

お困りの方はどうぞ当院へご相談ください。

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