ヒアルロン酸注入療法とは | ふくずみ皮フ科形成外科

本日はヒアルロン酸注入療法についてお話いたします。

・当院では厚生労働省の認可のおりた安全性の高いアラガン社のジュビダームというヒアルロン酸を使用しております。
通常1回あたり、1本~3本くらい使用します。1本あたり1cc入っているんですけども浅いほうれい線でしたら両方のほうれい線で1本のヒアルロン酸で量的には足ります。あと、マリオネットライン、口元の縦ジワであったり、頬がコケてたりする方は2本目、3本目が必要になります。

ここ5、6年でずいぶん変わったことがあるんですけども、それはなにかといいますと、

これまでは凹んだしわに直接打つことが多かったんですけれども、5、6年前にブラジルのDr.デマイオによるfoundations=『基礎固め』という治療方法を開発されまして、しわ以外のところのボリュームが減ったことで、
結果的に全体的なボリュームが減ることで皮膚がたるんだり、しわが形成するということを発見されました。

・foundations=『基礎固め』 というのは、頬骨のあたりに4、5カ所あって、特にめがねのつる状の頬骨弓という細い骨が、ほっぺたから耳の前にかけて、骨が外から触れることができるんですけども、この頬骨弓に2、3カ所0.1ccずつ打つことによって、それも骨膜の上、骨に近い骨を守っている骨膜の上に打つことでぐっと下から押し上げる効果があります。
1カ所打っただけでも左右の打ったほうと打ってない方と比べると、もう顔が歪むぐらい引き上げ効果が得られるというので患者さんにも必ず、1カ所打っただけなんですけど、こんなに変化あるんですよーって引き上げ効果がわかるんですよっていう風に、鏡を見てもらって確認してもらうようにしてもらっています。

・ようするに「老化」っていうのは皮下脂肪が減って、皮膚が薄くなったりとか、
「皮膚」というのはコラーゲン繊維が3次元構造で絡み合って弾力性を帯びたり柔軟性を持つような構造になってるんですけども、その3次元の結びつきが断裂したり、コラーゲンの量が減る、もしくは3次元の結びつきが緩くなったり、ボリュームが減ったりすることで皮膚自体が柔軟性がなくなって、薄っぺらく弾力がなくなり、皮膚が伸びた状態になります。それが下顎部ではブルドッグフェイスみたいなたるみを生じたり、しわを形成する原因のひとつになっています。

皮膚・皮下脂肪だけではなくて「」、骨も委縮して小さくなってしまいます。ご高齢の方の顔貌を見ると分かると思うんですが、顔が小さく見えるのは、骨が委縮するためなんです。ですからボリュームがじわじわと減少してくるのをヒアルロン酸で基礎固めということで土台をきっちり築くということを重点的に治療します。それが5年前から始まった新しいヒアルロン酸注入方法ということで現在では広く美容皮膚科、美容外科領域のクリニックで施術されている方法です。

・骨の上に打つことで、血管に注入してしまう、血管に注入すると血管閉塞とか起こって危険な場合があるんですけれども、骨の上には、血管が走っていませんのでもしくはリターンっていう少し吸引をかけて、血液が返らないっていうシリンジに血液が返らないということを確認しながら、確実に骨の上にヒアルロン酸を注入する手技を行っておりますので安全性が非常に高いです。

・簡単に考えた場合は、

  • 皮膚も薄くなって伸びる。
  • 皮下組織もボリュームが薄くなって弾力性がなくなる。
  • 骨も薄くなって小さくなる。

ということを考えると、ボリュームロスというのは、相当な量になるはずなんですけども、このヒアルロン酸注入のいいところは両頬でせいぜい2㏄から3㏄ぐらいの注入で相当な基礎固めができるところが特徴です。

目標としましては、ハート形をイメージしていただいてそのハートを顔におきあてはめて考えたとすると、その左サイド、右サイドのハートのやわらかいまるいラインが若々しい形態がだとされておりますので、ボリュームが減って内っ側にくぼんでしまった部分を外側に!!ハート形のやわらかいラインを取り戻すように心がけて治療するのがよいと思っております。

・上顔面、中顔面、下顔面という風に、眉間よりも上を前額・上顔面、眉間~鼻先を中顔面、鼻下を含めたオトガイ下顎骨を下顔面という風に大きく3部位にわけて治療するようにしてます。
バランス的にも上顔面、中顔面、下顔面が1:1:1の距離になるのが理想的なバランスとされておりまして、特に日本人は下顎骨が欧米人に比べて小さくて距離も短いと言われてまして、鼻下が中顔面、上顔面に比べて短い、というケースが多いですのでそれを下顎骨のボリュームを増やすことによって、バランスのとれた顔面に近づく、ということができますと同時に、オトガイ部という下顎骨にはオトガイ筋という筋肉が左右に小さくアーモンド大であるんですけれども、この部分を丸く膨らましてあげることで、口周りのハリがでてきて、マリオネットラインとか口周りのアンチエイジングがごく簡単にできます。

先程述べました3部位における上顔面、中顔面、下顔面それぞれ注入部位を解剖学的にどの部位にどれぐらいの分量を注入すれば適量というのが、おおよそ決まっていますので、個人差はありますけども、大体同じ部位に打つという主義が確立しておりまして、仕上がりのバラつきはそれほどないのが特徴です。

・治療効果と持続期間ですが、徐々に体に吸収されます。吸収されるからこそ安全だということですが、だいたい半年から9か月、長くみて1年の持続効果期間です。当院からのおすすめとしましては3ヶ月~6ヶ月おきに、少しずつつぎ足しながら注入を受けられるのがいい状態をキープする方法かなと思っております。

1年ごとに相当量吸収されて減った状態でまた再度打つよりかは半分程度減った状態でつぎ足す方がいい状態が保ちやすいのではないかと思っています。

・非吸収性の注入薬というのはごく一部のクリニックでまだまだ使われてはいるのですが、「異物反応」ということが生じてしこりになったったり、赤く腫れてきたり、それからヒトアジュバンド病という膠原病の類似様の体のだるさが起こったり、むくみがでてきたりとか、非常に重大な副作用が稀とはいえない、かなり高頻度、10人中何人という頻度で現れ、美容外科学会、形成外科学会でも注入はしてはならないというふうに結論づけられていますので、非吸収性の「一回打てばずっと効果が持続します」とか、「効果は一生ものです」というフレーズに騙されることなく、そういった治療は絶対に受けてはなりません。繰り返しになりますけれども当院では厚生労働省の認可がおりたアラガン社のヒアルロン酸を使用しておりますので、その意味においては全身的な副作用は絶対にないと、安全なものと言えます。

(医)美咲会 ふくずみ皮フ科形成外科

Copied title and URL