今回は、洗いすぎによる「乾燥性皮膚炎」のその2について、書いてみたいと思います。 ~何故、ニキビが繰り返し出来てしまうのか?~ 話を分かり易くするために、ニキビの患者さんを例に挙げてみたいと思います。 当院には、毎日治りにくいニキビを訴えて来院される患者さんが、結構な数いらっしゃいます。 その方々の肌状態を拡大ルーペでよく観察しますと、 ①毛穴が開いて、浸出液がごく少量ですが認められます。 →汗ではないですね。 →炎症の強い赤みがかった毛穴限定で認められる現象ですから。 ②この毛穴が開いているという表現自体も実は間違いだと思っています。 →実際は、角質が削り落とされてクレーター状に毛穴が凹んで傷を負った状態なんです。 →当院では、毛穴の開き=毛穴の怪我、と説明することが多いです。 ③にきび用に、最近5~10年前後で次々と開発されたビタミンAクリーム系や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル) は、高率で肌荒れを引き起こします。 →にきびに効果がありますが、肌本来のバリア機能を損ねますので、長期使用には向きません。 ④肌のキメ、すなわち肌理が損傷を受けて角質層が磨り減っています。 →水分保持が不十分になります。 →ニキビ肌の方は、皮脂が過剰という気持ちが強いので、ピーリング石鹸やスクラブ洗顔で 皮脂の洗浄と角質層のピーリングを念入りに行う傾向が強いようです。 ⑤肌本来の機能は、適切な角質層(10層程度)に皮脂をためて、細胞からの水分蒸発を防ぎます。 ⑥さらに黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌といった常在菌が絶妙のバランスで、アクネ桿菌その他の悪玉菌の 増殖を防いでいるんです。 まとめますと、①10層の角質の保持、②皮脂が十分角質内に保たれている状態、③皮膚の常在菌が保たれている状態 が、肌本来の「バリア機能」を最大限に発揮する土台となります。 今日は、ここまでにします。 それでは、また!
吹角 善隆 拝